「じゃあ梢、その言葉訂正してもいいかな?」

そう言いながら、優太は私の背中に手を回した。

「えっ!」

優太の胸に顔を埋めた私は、頬が一気に熱くなった。

彼はもう死んでるはずなのに、ドクンドクンと優太の心音が私の耳にかすかに聞こえる。

「デートなんかしなくても、お互い好きという想いを持っていれば、彼氏と彼女の関係は成立すると思うぜ。俺は」

訂正した言葉は、まるで彼からの告白のようだった。

「優太‥‥‥」

私はこもった声を出して、優太の服をギュッと握った。

私には、彼とデートした記憶はある。しかし、彼にはなかった。でも今、優太から彼氏と彼女の定義を教えてもらって、私の瞳からうれし涙が流れた。

「ごめんな、梢。ほんとうにそんなこと言ったこと覚えてないんだ。梢を傷つけてごめんな」

そう言って優太は、さらに私を抱きしめる力を強めた。

私の頬がさらに熱くなり、心臓の鼓動がうるさくなる。