「梢は私の恋、一生懸命おうえんしてくれたから。今まで私たちのために苦しい思いをしていたから、生きる資格があるんだよ。私たちのために、やさしい嘘をつくの辛かったでしょ」

笑顔で言った詩織の瞳には、うっすら涙が浮かんでいた。

「違うよ、詩織。私、おうえんなんかしてないよ。それも、うそだったの。正直に言ったら詩織は交通事故で死ぬから、優太ともデートできなくなるから嘘ついたの。ごめんね、ごめんね」

赤く充血した目で、私はずっと嘘ついていたことを彼女に正直に言った。

詩織に嘘をついて優太とこっそりデートしていた自分を思い出すと、彼女が私に怒るのもこのときやっとわかった。

「だから、私に生きる資格なんてないんだよ!」

私は瞳から、大粒の涙をこぼして言った。

「梢、それもうそなんでしょ」

詩織は、やさしい声で言った。

「違うよ!私、ほんとうにおうえんなんかしてないよ。だって私も、優太のことが好きなんだから。おうえんなんかしてないよ」

「梢がおうえんしてくれたから私の恋、実ったよ」

詩織は私の話を聞き入れてないのか、ほんとうにおうえんしてくれていたことを信じていたらしい。