「梢、泣かないで。梢は、生きられるんだよ」

そう言って詩織は、私の手をやさしく握った。

「むり‥‥‥生きたくない‥‥‥生きれないよ‥‥‥」

ぶるぶると首を振って、私は涙混じりの声で言った。

私の脳裏に詩織と過ごした記憶がよみがえり、涙がぽろぽろとこぼれ落ちる。

同じ学部で、知り合った思い出。好きな本を通じて、〝知り合いから友人〟になった思い出。好きな人が一緒だったことが原因で、ケンカした思い出。詩織と過ごした一日はどれも大切な日で、思い出すとまた私の瞳から涙がこぼれ落ちる。

「むりだよ。私、生きれないよ‥‥‥生きたくないよ!」

私は、泣きながら詩織に抱きついて叫んだ。

私がタイムリープして生きたせいで、優太と詩織から命をうばったようで辛い。