「でも、梢が生きる運命になった」

「えっ!」

優太の短く言った言葉を聞いて、私は驚きの声を上げた。

「私たちは生きる人生から死ぬ人生に変わったけれど、梢は死ぬ人生から生きる人生に変わった。友人の梢が生きてくれるなら、私は死ぬ人生も受け入れるよ」

詩織の口から、〝友人〟という言葉が出た。

詩織は悲しく笑って、私を見つめている。

「詩織‥‥‥」

久しぶりに聞いた、〝友人〟という言葉を聞いて私の涙腺がゆるんだ。

「梢、ずっとおうえんしてくれてたもんね。私の恋。梢がおうえんしてくれていたから、優太とこうして一緒になることができたよ。ありがとうね、梢」

「それって‥‥‥」

お礼を言った詩織の瞳から一筋の涙が頬を伝って流れており、私は震えた声を上げた。

詩織が言った言葉を聞いて、二人が死んだという現実を突きつけられる。