「優太、詩織‥‥‥」

私は、涙混じりの声で二人の名前を口にした。

「辛かっただろう」

私の方までゆっくり歩いて、優太はやさしい声で言った。

優太のやさしい声もやさしい笑顔も、なつかしい。

「‥‥‥‥」

首を左右に振って、私はただ瞳から涙を流した。

「ごめんな、梢。お前のこと、疑ったりして」

そう言って優太は、私をやさしく抱きしめた。

服越しでも伝わる優太のやわらかな肌を感じ、私の白い頬がかすかに熱くなった。

「優太、謝るのは私の方だよ。私のせいで、優太と詩織が死んだんだよ!」

私は優太の体を軽く押して、泣きながら叫んだ。

私が生きたせいで、優太と詩織が死ぬことになった。そう思うと、私は優太を好きになる資格はなかった。