「お、おい!私に手を出したらお前みたいな人間、すぐに消すことだってできるんだぞ!」

神様は、慌てた口調で私にそう言った。

「じゃあ、消してよ。消してくれたら、優太と詩織にも会えるんだから」

そう言って私は、拳を握った。そして、神様の顔を殴ろうとした。

「梢」

そのとき背後からやさしい声が聞こえて、私は後ろを振り向いた。

「優太、詩織‥‥‥」

私は、瞳に映った人の名前を口にした。

私の瞳から涙が流れ、神様のつかんでいた手を離した。

「ゲホゲホ」

私が手を離したのと同時に、神様が苦しげに咳をした。

「優太、詩織。どうしてここに‥‥‥?」

私は、震えた声でそう訊いた。

なんだかものすごく二人に久しぶりに会ったみたいで、私の瞳から涙がこぼれる。