「幸せになれたか?」

「‥‥‥」

近くから聞き慣れた声がして、私はうっすら目を開けた。

もう何度も見たことのある、琥珀色の世界が私の瞳に見えた。

「幸せになれたか、女」

なまいきそうな目つきで、私に質問をする神様。

神様の右手には、ペンダントが握られていた。

「なれてない」

私は、抑揚のない声で答えた。

「そうか。それは、ざんねんだな。私がせっかく幸せになれるチャンスを与えたあげたのに」

ペンダントをクルクルと回しながら、神様は冷たく私に言った。

「それ、返して。もう一度最後にタイムリープして、優太と詩織を交通事故から助けたいの。だから、返して!」

私は、涙目でそう言った。