午後一時二十分、アパートの寝室で私はあれからずっと泣いていた。今日の大学の内容は全然頭に入っておらず、私は深い悲しみにくれていた。

「どうして、こんな不幸ばっかりの人生なの‥‥‥?」

床に敷いてある、ふとんの上に寝転んで私はしくしく泣いていた。

小さな窓から見える、星ひとつない夜空には細い糸のような月が浮かんでいた。

「優太、詩織」

私は好きな人の名前と、友人の名前を口にした。

二人のことを思い出すと、涙がまた込み上がる。

「戻りたいよ‥‥‥」

私は、本気でそう思った。

二人が亡くなる前に戻って、また三人で楽しくしゃべりたい。

「戻って、二人にもう一度会いたいよ」

目をつむって私は、首に下げていたペンダントをつかんだ。そして、願った。しかし、なにも起こることはなかった。

「えっ!」

驚きの声を上げたと同時に、私は首に下げていたペンダントに視線を落とした。しかし神さまからあずかったペンダントがゆっくり消え始め、私の目に目えなくなっていく。

「うそでしょ‥‥‥」

私は、震えた声でそう言った。

私の脳裏に神さまが何度も忠告していた言葉がよぎり、顔が青白くなる。

「うそでしょ!嫌よ、こんなの」

私の瞳から、とめどなく涙が流れ出した。

「絶対に嫌よ、こんな人生!優太も、詩織もいない人生を生きるなんて!」

私は、戻りたいと強く願った。しかし、私の悲しい叫ぶ声が静かな夜に響くだけ。

「お願い、戻って。戻ってよ!」

私の願いを拒否するかのように、首に下げていたペンダントが完全に消えた。

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

私は、絶叫した。

涙がぽろぽろと流れ、目が赤く充血した。そして、私は泣きながら眠った。