午前九時十分、私は大学に到達した。大学の講義室に入って、いつもの窓際の席に座った。

「詩織、まだ来てないのか?」

いつも私より早く来て席に座ってスマートフォンをいじってる、詩織の姿が今日は講義室には見えなかった。

窓の外に視線を移すと、昨日までの天気がまるでうそのように夏の青空が広がっていた。

数十後。講義室の壁掛け時計が午前九時二十分を差し、午後の講義が始まる十分前になっても詩織と優太は講義室には現れなかった。

「優太‥‥‥」

私は、心配そうに彼の名前をつぶやいた。

優太が今まで遅刻することはなかったし、十分前には必ず講義室に入っていた。二人ともこの時間になっても現れないことに不安の波が押し寄せた。