午前の講義を終えた私たちは、約束どおり、優太と食堂で昼食を食べることになっていた。広々とした食堂には学生の姿が見え、一緒の席で男女が座って楽しくしゃべている光景は、なんだかカップルに見えた。
私は白いテーブルの上に食堂のメニューを置いて、空いているイスに腰を下ろした。優太も、向かい合わせの席に腰を下ろした。
白いテーブルの上に乗っている、今日の食堂のメニューは洋風だった。白い食器皿の上にはマヨネーズのかかったサラダがのっており、バターの風味がほのかに漂う、やわらかいパンが私の鼻腔をくすぐる。
「ごめんね、優太。デートできなくて」
私は、ぎこちない笑みを浮かべて謝った。
「‥‥‥‥」
彼は口をきゅっと固く結んだまま、なにも答えなかった。
「今週の土曜日、私、予定ないんだ。だから今度こそ、その日にデートしよう」
私は、笑顔でそう言った。
「ウソだろ、それも」
「えっ!」
優太の沈んだ声を聞いて、私は目を丸くして驚いた。
「それ、俺をよろこばせるためにわざとうそをついてるんだろ。それが、お前の仕事だもんな」
そう言って優太は、私を見つめた。
私を見つめる優太の目は冷たかったが、どこか哀しい色も浮かんでいた。