「ほんと、今の私の気持ちみたい‥‥‥」

そう思っていると、講義室の扉がガラガラと開く音が私の耳に聞こえた。

「ん!」

私は、扉の方に視線を向けた。

私の向けた視線の数メートル先には、白いイヤホンを耳につけた優太の姿が目に映った。優太は広い講義室に入って、空いていた私のとなりの席に。

「優太」

私はちらりと優太の方に視線を移したが、彼すぐに本を開いて会話する気はなさそうだった。

ーーーーーーなんで、そんなに怒ってるの?私、二人になんかした?

「なぁ、清水。今日、俺と一緒に昼ごはん、食堂で食べないか?」

心の中であれこれ悩んでいると、私のとなりに座っていた優太が声をかけてきた。

「えっ!」

それを聞いた私は、目を丸くして驚いた顔で優太を見つめる。

夏休み入る前は彼から、〟梢〟と呼ばれていたのに、今は、〝清水〟と呼ばれたことに不安と驚きが一気におそった。

「うん、いいけど」

私は、首を縦に振って答えた。

「じゃあ、決まりだな」

「うん」