翌日、私は午後からの講義を受けるため、午後一時三十分に大学の講義室に入っていた。
昨日に続いて天気は悪く、どんよりとした鉛色の雲が空をおおっていた。テレビで報道していた気象予報士によるとこの三日間は、天気が悪いらしい。
「はぁ」
なんだか六月の梅雨に戻ったみたいで、私の口からため息が漏れた。
昨日と違って大学の講義室には優太の姿はなく、今日は詩織と一緒だった。
「詩織、久しぶり」
私はスマートフォンをいじってる、詩織に近づいて声をかけた。
「‥‥‥」
詩織はちらっと冷たい目で私を見たあと、またすぐにスマートフォンに視線を落とした。
詩織まで私に怒ってるのか、なんだか昨日に続いて空気が重たく感じる。
「詩織、なんだか私に冷たくない?」
「そう?私たち、いつもこんな感じじゃん」
スマートフォンをいじりながら答えた詩織の声は、やはり冷たかった。
夏休み前はスマートフォンをいじりながらでも楽しくしゃべっていたはずなのに、夏休み明けからは、優太も詩織もなんだか私に冷たい気がする。
「そう‥‥‥だよね」
ぎこちない笑みを浮かべた私の口から出た声は、ため息交じりだった。
詩織と一緒に午後の講義を受けたが、今日一日彼女としゃべることはほとんどなかった。