午後五時四十分。私が病院に戻るころには、オレンジ色の太陽は西に沈み始めていた。赤く燃えているような夕日が、空をオレンジ色に染めていた。

私はスライド式の扉を右手で開き、母親の病室に入った。開いてる窓から夕日が差し込み、ほのかに病室をオレンジ色に照らしていた。

「お母さん、おそくなってごめんね」

私は白いカーテンを少し開けて、病院のベッドで目を閉じている母親に視線を向けた。

翼と美代子さんの姿はなく、私と母だけだった。

「翼と美代子さん、けっこうおそいなぁ」

そう呟いて、私は丸イスに腰を下ろした。

私の瞳に、病院の白いベットで目を閉じている母親の姿が映る。