午後三時二十分。私は昼食を食べたあと、病院近くのフラワーショップに来ていた。

今までがんばってくれていたぶん、私からお母さんにお花のプレゼントをしようと思ったのだ。

店頭に並んでいる、色鮮やかな花から自然の生命を感じる。

「きれい」

うっとりした表情を浮かべてお花を見ていると、やわらかな風が吹いた。その風に吹かれて、花の香りが私の鼻腔をついた。

「いらっしゃませ」

私が店内に入ると、エプロンをした若い女性が声をかけて接客してきた。

黒い長い髪の毛をゴムでひとつに結んでおり、少しつり上がった茶色瞳。白い長袖のTシャツの上から、黒いエプロンをしていた。