「約束してたデートを裏切ったけど、優太は怒らないの?」

私は、不安そうに訊ねた。

不安の波がぐっと押し寄せ、私の心臓が圧迫されるように重くなった。

『デートを断ったぐらいでは、怒らないよ』

彼のなぐさめるような言い方に、思わず泣きたくなる。

タイムリープする前に彼と電話で話したことを、優太は私に同じことを言ってくれた。

ーーーーーー優太を信じてよかった。

私は、心からそう思った。

『大切な用事なんだろ。デートができないのは辛いけど、梢はそっちを優先してあげて』

「うん」

彼にそうやさしくそう言われて、私はうなずいた。

『またな、梢』

「ほんとうにごめんね、優太」

そう言って私は、電話を切った。

これで私は、大阪に帰って母親に会う人生を選択をした。鏡に映る自分は、化粧をしてない見慣れたいつもの自分だった。

「はぁ」

私の口から、深いため息が漏れた。

デートをしていた日は化粧をして自分でも美しく感じていたが、今はどこか疲れた表情をしていた。