「お前、母親のためにまたタイムリープするのか?」

私の母親が死んだこともこっちの世界から見ていたのか、神様は冷たい声で訊ねた。

「知ってるんだったら、聞かないでよ」

私は、涙声でそう言った。

母親の姿が脳裏に浮かび上がり、私の瞳から涙がまた流れる。

「それが、お前の優しさか?」

神様が、あきれた表情を浮かべながら私に指差して訊いた。

「そう」

「幸せになるためには、そんな優しさは必要ないぞ」

神様は首を左右に振って、私の人生の選択を否定するように言った。

「必要だよ。幸せになるためには、優しい感情が必要なんだよ。私は母親と弟を見捨てて、優太と幸せにはなれない」

私は、はっきりとした口調で否定した。

「だからお前はタイムリープして、大阪の実家に戻って母親に会う選択をするんだなぁ」

「うん」

神様の問いに、私はコクリとうなずいた。