「はぁ。べつにうそはついてないよ。仕事でも好きな人にも〝好き〟って言うし、嫌いな人には〝嫌い〟って言うよ」

そう言った言葉とは裏腹に、私はうそをついていた。

優太の影響のせいなのか、私はたしかにやさしくなった。けれど、お客様さまを好きになることはなかった。優太以外に、人を好きになるなんて考えられなかった。

「じゃあお前は、斎藤のことも好きだったのか?」

私に指をさして、神様は低いトーンで訊ねた。

「それは………」

それを言われると、私は言葉に詰まる。

私の脳裏に斎藤の姿が思い浮かび、背筋が一瞬で冷たくなった。

「やさしすぎると、お前が不幸になるぞ」

神様がむっと眉間にしわを寄せて、きびしい口調で私に言った。

態度は高圧的だったが、神様は私のことを心配してくれるのが伝わった。