「やさしんだなぁ、女」

近くからもう何度も聞いたことがある声が聞こえて、私はうっすら目を開けた。

視界が明るくなり、ぼんやりと私の視界に映ったのは、やはり琥珀色の世界だった。

「また私、戻ったんだね」

そう言いながら、私は声のした方に視線を向けた。視線を向けた数メートル先には、神様の姿が私の目に映った。

なまいきそうな目つきで私をにらんでいる神様は、どことなく冷たく感じた。

「思ったよりも、やさしんだな。女」

一歩私に近づいて、神様は冷たく言った。

「なんでそう思うの?」

私は、細い首をわずかにかたむけて訊いた。

「うそをついて人をだます仕事をしてる人間なのに、タイムリープして人を助けてばっかりだから」

神様は、私に指を指して言った。

「それ、ほめてるの?けなしてるの?」

私は眉をひそめて、神様を見つめた。

「もちろん、ほめてるさぁ」

神様は、両手を広げていたずらぽっく笑った。

なまいきで偉そうな奴だけど、屈託のない神様の笑顔が私の怒りを忘れさせた。