背が高くて甘い顔の瑛太はバイトしながら小さな劇団に入っていて、舞台役者になるのが夢だった。これといった夢というものがなく、毎日を惰性的に過ごしている結衣には瑛太が眩しかった。
彼は大きな夢を持つ人だった。夢を追い続ける人だった。
現実を逃避する人だった。仕事が続かない人だった。
結衣は瑛太に恋をして、瑛太は結衣をカモにする。
いつの間にか瑛太は結衣の部屋に住み、金を持ち出す。
もう……嫌だ。
力尽きたように結衣は襟元からダラリと手を下ろし、そっと天を見上げて雨を顔に受ける。
神様神様
私は疲れてしまいました。
最初から仕組まれた罠でした。夜道で絡んできた中年男も瑛太とグルだったのでしょう。
平凡な女を罠にかけて利用して捨てる。
よくある話です。
まさかそんな男に引っ掛かるなんて、絶対ありえないと思っていたのに、人生って不思議ですね。
逃げようとしても彼のスマホの中には私の裸の画像が入ってます。かなりきわどい画像です、笑っちゃうくらいグロいかもしれません。
それを会社にバラまくと言われているので、ずーっと私は彼のいいなりです。
神様神様
きっと私のお金が尽きたら
次の女性を選んで餌食にするでしょう
その繰り返しになります
これ以上犠牲者を増やしてはいけません。
彼を殺していいですか?