肩にあたったのはほんの僅かな衝撃だったのに、必要以上に驚いて、床から飛び上がりそうになる。

同時に、心臓が飛び出しそうになるくらい大きくドクンと鳴った。

「宮坂、こんなところでどうした?」

背後から、低くて野太い声がする。

振り返ると、怪訝な顔をした柴崎先生があたしを見下ろしていた。

「あ、あの……えっと。え、英文法のことで先生に質問があって」

身体中にまだ妙な緊張感が残っていて、言葉がどもる。

「あぁ、そうか。じゃぁ、あっちで見よう」

柴崎先生は不自然なあたしの態度をさほど気にしていない様子で、職員室の奥へと進んでいった。

あたしと柴崎先生の存在に気付いた萌菜と冴島先生が、会話を辞めて二人同時にこちらに視線を向ける。

「あ、紗幸希だ! なんかひさしぶりだね」

萌菜はごく自然ににっこりと笑うと、柴崎先生とともに職員室の奥に進み入ってきたあたしに手を振った。