「宮坂さん。涼太だって別に暇なわけじゃないから」
「そうだよ。俺だっていろいろ勉強しないといけないことがあるし」
上原くんのフォローを受けて、涼太がなんだかエラそうに胸を張る。
「ふぅん。だったら、なおさら、あたしの邪魔をしないでください」
あたしだって、本気で涼太が暇だと思っているわけではない。
涼太に何か言われる度に、つい反発してしまう自分が嫌だったけど、今さら後には引けなかった。
「サユ。お前、ほんとに冷たいやつだよな。そこまで言うなら、一人で残ってガリ勉してろよ。上原! 亜未! 俺達は駅前でアイスでも食ってちょっとリラックスして、それからまたそれぞれ頑張るぞ」
涼太があたしにあてつけるみたいにそう言って、亜未と上原くんの肩をぽんっと叩く。
「うん、ちょっとくらい休むのも大事だよね」
肩を叩かれた亜未が、嬉しそうな声で涼太に同意する。
「勝手にどうぞ」
亜未の様子を横目で見遣りながら素っ気無い声で言うと、上原くんがくすくすと笑いながらあたしのほうを見た。