「別に。木瀬、それ飲んだらそろそろ帰るぞ」
「え? ちょっと待ってよ。俺、まだサユのデザート食ってない」
涼太はコップいっぱいに注いできたジュースを慌てて啜ると、あたしの手元からスプーンを奪って、まだ半分くらい残っているパフェを勝手に頬張り始めた。
「それ食ったら帰るからな」
必死でパフェを口に突っ込む涼太を、冴島先生が呆れ顔で見つめる。
そんな冴島先生の横顔を睨んでいると、あたしに視線を戻した彼が、鼻先でふっと笑った。
感じ悪い……
冴島先生から視線を逸らしたあたしは、ファミレスから出るその瞬間までずっと、不機嫌な顔のままで黙り込んでいた。