文句言われるのかと思ったら、何それ……

「別に、何から食べようとあたしの勝手じゃないですか」

傍にあったペーパーナプキンで溶けたアイスクリームを拭いながら、ムッとした声で答える。

「まぁ、そりゃそうだな」

冴島先生は大して興味なさそうに頷くと、パフェを指差したその手でコーヒーカップを持ち上げた。

なんだ、それ。結局、どうでもいいなら話しかけてこないでよ。

顔中に不機嫌さを全面に押し出したまま、パフェのアイスにスプーンを突き刺したとき、少し離れたところから同い年くらいの女の子の声が聞こえた。

「ねぇ、名前なんて言うの?」
「んー、木瀬 涼太」

どこにいてもよく通る明るい声に、あたしの耳が勝手に反応する。

声のしたほうに顔を向けると、ドリンクバーに飲み物を取りに行ったはずの涼太が何個か向こうのテーブルに座っている女子高生3人組に話しかけられていた。