「あ、飲み物なくなった」
必死で食べ続けていた涼太が、手元のコップをつかんでひさしぶりに声を発する。
「新しいの入れてこよ。サユ、それ俺の分も残しとけよ!」
飲み物を入れ替えるために立ち上がった涼太は、パフェを指差すと念を押すようにそう言った。
「あぁ、はいはい」
一体、どんだけ食べるのよ……
もう8割方平らげられているパスタの皿をちらっと見ながら呆れ声で返事をすると、涼太は満足そうににこっと笑ってドリンクバーのコーナーに歩いて行った。
涼太が立ち上がると、テーブルに残されたあたしと冴島先生の間に微妙な空気が流れ始める。
そういえばあたし、放課後の冴島先生との個人面談でムカつくことを言われて怒りに任せてそのまま教室を飛び出してきたんだった。立ち上がったときに倒した椅子も、戻したりせずそのまんま。
何か文句を言われたら、どうしよう。