「ちょっと、あたしの意見は……」

特に食べたいものなんてなかったけど、勝手に決められると嫌な気分になる。と、いうより。冴島先生の物言いがあたしを嫌な気分にさせる。

反論しようと口を開くと、冴島先生がじろっとあたしを睨むように見てきた。

「何? 意義あり?」

やけに冷たい目で見られて、開きかけた口が自動的に閉じる。

「ないない。早く頼んでよ、大ちゃん。腹減った」

あたしの隣で、涼太が能天気にへらへら笑う。

冴島先生に何も言えなくなった代わりに、あたしは隣でへらへらしている涼太の横顔を軽く睨んだ。

そうしているうちに、店員の女性がやってきて、オーダーを受けてくれる。

しばらく待っていると、大盛りのパスタセットとパフェ。それから、ホットコーヒーが運ばれてきた。

大盛りのパスタセットを頬張る涼太と、メニューに載っていた写真よりも大きなパフェを食べるあたしの前で、冴島先生が無言でコーヒーを飲む。

普段は一番しゃべる涼太も、食べている間は真剣でほとんど何もしゃべらない。

当然あたしも何もしゃべらないから、あたし達のテーブルだけ周りに比べて異様に静かだった。