ファミレスに入ったあたし達は、4人がけの喫煙席に通された。

普段は絶対禁煙席を選ぶのに、席の希望を聞かれて真っ先に喫煙を選んだ冴島先生の気遣いのなさに少し腹が立つ。

けれどそんな細かいことなど気に留めていない涼太は、通されたテーブルの奥の席にあたしを押し込むと、自分がちゃっかりその横に座った。

冴島先生は、あたしと涼太のちょうど真ん中あたりで向かい合うようにして、テーブルを挟んで向こう側の席に座る。

「なぁなぁ、大ちゃん。俺、このパスタセット。ライスとサラダとあとドリンクバーつけて」

席に着いた途端にメニューを手に取った涼太が、何の遠慮もなく自分の要望を突きつける。

「あー、はいはい」

冴島先生は面倒くさそうに答えると、ちらっとあたしに視線を向けた。

「宮坂は? なんかもう、どうでもいいからお前も好きなもん食え」
「サユ、これうまそう。頼んで俺にちょっとだけ分けてよ」

メニューを独占していた涼太が、デザートのページを開いて、苺とチーズケーキの乗ったパフェをあたしに指し示す。

「じゃぁそれな。はい、決定」

冴島先生が、思いきり棒読みでそう言って、涼太からメニューを取り上げる。それからテーブルに設置されたブザーを鳴らして店員を呼んだ。