「よかったら、どうぞ」
パチンコの弾を隣の人の台に載せた冴島先生が、諦めたように立ち上がる。
「今回だけだからな」
冴島先生は小さく舌打ちすると、自分が使っていたパチンコ台の上に置いた煙草の箱をつかんで、ポケットに突っ込んだ。
「やった」
無邪気に笑う涼太の背中を、冴島先生が店の出口へと押しやる。
「宮坂もだろ」
あたしがぼんやりと立っていると、冴島先生が気だるそうな目で振り返った。
「あたしは別に……」
「サユ、行こうぜ」
涼太が立ち止まっているあたしのところに戻ってきて、腕をつかんで引っ張る。
涼太に半ば引っ張られるようにして、あたしは面倒くさそうな顔をした冴島先生と3人で近くのファミレスに入った。