「大ちゃんこそ、何してんの? 仕事帰りにパチンコなんてしてていいわけ?」

涼太が座っている冴島先生を見下ろしてにやりと笑う。

「別にいいんだよ。俺は大人だから」
「でもさぁ、生徒にパチンコしてるのを見られるのってあんまりよくないんじゃない? 大ちゃん、先生って言ってもまだ新人だろ? 柴崎先生には黙っててあげるからさ、なんか奢ってよ」
「は?」

涼太の言葉に、冴島先生が面倒くさそうに顔をしかめた。

「俺、腹減ったからパスタとかカレーとかがっつり食いたい! サユは?」

冴島先生のしかめっ面に気付いているくせに、涼太がにやっと悪戯っぽく笑う。

「は? なんであたし?」

「サユはケーキセットだって。じゃぁ、そこのファミレス?」

涼太は勝手にそう言うと、客の出入りで開いた店のドアの向こうにちらっと視線を向けた。

「あぁ、うぜぇな。お前ら」

冴島先生は、面倒くさそうに前髪を掻きあげると箱いっぱいに入っていた銀色のパチンコの弾を横の席の人に渡した。