「え? どこ?」
大ちゃんって、冴島先生──?
涼太が指差す方を見てみたけれど、パチンコ屋の前に冴島先生の姿はない。
「違う違う。外じゃなくて、中。ドアが開いたときによく見てな」
涼太に言われて、パチンコ屋の入り口をじっと見る。
しばらくすると、パチンコ屋のドアが開いてお客さんが出てきた。開いたドアの向こうから、パチンコの弾がガチャガチャと回る音が騒々しく響いてくる。
「ほら」
涼太があたし顔の傍に顔を寄せて、パチンコ屋のドアの奥を指差す。
入り口付近の台に座っている若い男は、涼太が言うとおり、冴島先生だった。
「話しかけに行こう!」
涼太がにやりと笑って、あたしの手を引っ張る。
「いやだよ。制服だし、ダメだって」
それに、学校の外でまで冴島先生に関わりたくない。