約束どおり1ゲームだけでボウリングを終えたあたし達は、ボウリング場をあとにした。

「これからどうする?」

涼太がふらふらと鞄を振りながら、あたしに話しかけてくる。

「どうするって……帰るよ」
「えー。帰んの? まだ早いじゃん」

制服のポケットからスマホを取り出して時間を確かめる涼太を無視して、あたしは早足で駅のほうに歩いた。

「サユ、歩くの速いって……あっ!」

ぶつぶつと文句を言いながら後ろを追いかけてきていた涼太が、大きな声を上げて突然立ち止まった。

涼太の声に驚いたあたしも、思わず立ち止まる。

「何よ、急に」

怪訝な顔で振り返ると、涼太が口元に悪戯っぽい笑みを浮かべて、道沿いにあるパチンコ屋を指差した。

「サユ、見て。大ちゃんだ」