真ん中のピンがグラグラ揺れて倒れると、そこからドミノのように両サイドのピンが横倒しになっていく。

全然狙ったつもりなんてなかったのに、気付けば遠くでピンが全部倒れていた。

「サユ、ストライク! すげぇ」

涼太が少し興奮気味にあたしに駆け寄ってくる。

「あ、うん」

驚いた顔で涼太を見ると、彼が人懐っこい顔でにこにこと笑った。

「すげぇな、お前」

涼太がにこにこ笑いながら、あたしの頭を手の平でくしゃりと撫でる。

「まぐれだよ」
「でも、すげぇよ!」

涼太があんまり嬉しそうに笑うから、あたしは頭の上にのせられた彼の手を振り払うことにまで気が回らなかった。

そんなふうに笑われたら、すごく困る。どんな表情で応えればいいのか、全然わからなくなる。

にこにこ笑顔の涼太から視線を逸らしたとき、制服のスカートのポケットでスマホが鳴った。