「だったら、今日も仕方なく遊んでよ」
涼太がそう言って、あたしの手をつかむ。
「サユ、カラオケ嫌いだったよな。じゃぁ、ボウリングしよう、ボウリング!」
「ちょっと、勝手に決めないでよ」
涼太につかまれた手を振り払おうと腕を振る。
だけど涼太はあたしが振り払った手をまたつかみ、無理やり引っ張っていった。
駅まであたしを引っ張っていった涼太は、電車の中に強引にあたしを押し込むと、学校の最寄り駅から三つ先の駅で今度は強引にあたしを電車から引き摺り下ろした。
電車から降ろされたあたしは、仕方なく数歩前を歩く涼太についていく。
「1ゲームしたら帰るから」
「いいよ、じゃぁ1ゲームな」
あたしの言葉を聞いた涼太が嬉しそうにへらりと笑う。
その顔を見て、「今すぐ帰る」と言わなかったことを後悔した。