「俺だって別にお前と話したいわけじゃねぇけど、柴崎先生に頼まれてんだから仕方ねぇだろ」

仕方ない……? だったら無理やり教室に引きずり込む必要ないじゃない。

無言で冴島先生を睨む。

彼はあたしを見下ろしてため息をつくと、自分の向かい側の席にあたしを座らせて自分も椅子に座りなおした。

「この学校で俺に好意的じゃないのは宮坂くらいだよ。俺、お前になんかしたっけ?」

冴島先生は、机の上に置いてある紙の束に視線を落としながら苦笑いした。

そりゃ、そうでしょうね。あたしには全く理解できないけど、あなたはその見た目のせいで人気者ですから。

心の中で毒突きながら何も答えずに黙っていると、机の上の紙の束の中から目的のものを見つけたらしい彼が、「あった」と独り言をつぶやいてそれを一番上に引っ張り出した。

「まぁ、お前が俺を嫌いでも構わないけど。俺は副担任として柴崎先生からお前の個人面談を頼まれたわけだから、一応形式だけでも話しとかないといけねぇんだよ。それで不足なら、あとで個人的に柴崎先生のところに相談に行けば? まぁ、ほんとに相談することがあればだけど」

冴島先生は興味なさそうな声でそう言うと、あたしの前に一枚の紙を置いた。