毎日のように降り続いていた雨がやみ、数週間ぶりにすっきりと空が晴れた。

梅雨が明けて、そろそろ夏が来る。

机に片肘をつきながら窓の外を見やっていると、前の席から配布物が回ってきた。

「個人面談、か……」

配布されたプリントに印字された、太字明朝体で書かれた表題を見つめてつぶやく。

顔を上げると、いつの間にか教壇に立っていた担任の柴崎先生が、あたし達に配布物が行き届いているか確かめるように忙しく首を左右に動かしていた。

「みんな手元に一枚ずつ届いたか? 夏休みはまだ1ヶ月以上も先だが、それに向けて個人面談を行う。それぞれ希望の進路を書いて1週間以内に提出するように。面談の日程はこっちで勝手に決めるから、もし都合が悪かったら先生に言いにきなさい」

柴崎先生が教室を出て行ったあと、亜未が渡された個人面談のプリントを指でつまんでひらひらさせながらあたしのところにやってきた。

「個人面談とか面倒だよね。紗幸希、志望校どこ書くの?」
「うーん……」

あたしは愛想笑いを浮かべると、既に希望進路を書き込んだ用紙を、亜未に見られる前にすばやく裏返した。