あたしはそんな冴島先生のことを鋭い目で睨むと、差し出されたパスケースを乱暴に奪い取って、「さよなら」も言わずに走って教室を飛び出した。
学校を出たあたしは、駅までの道を一度も立ち止まらずに走った。
駅の改札を抜けると、ホームに設置された待合用の椅子に崩れ落ちるように座り込む。
徒歩でも相当時間のかかる道のりを一気に駆け抜けたものだから、かなり呼吸が乱れていた。
椅子に座って、ゆっくりと深呼吸しながら息を整える。
ようやく落ち着くと、あたしは鞄の中から手帳を取り出して、開いた。
さっき冴島先生に見られた写真が手帳の栞のようになって、今とは間逆の冬のカレンダーのところに挟まっている。
その写真に写っているのは4人。
亜未と涼太と上原くんと、それからあたし。
一番左端に亜未がいて、その隣が涼太。それから右端が上原くん。
あたしは涼太と上原くんの間に挟まれるようにして、立っていた。
みんな笑っているのに、あたし一人だけがちょっと無愛想な顔をしている。