今からちょうど１年前。

高校２年生で初めて言葉を交わしたときの、あいつの印象はすこぶる悪い。


あたし達の高校では、毎年５月末から６月中旬までの間で教育実習生を受け入れる。

少ない年は５人くらい、多い年は10人以上。


そのほとんどがうちの高校の卒業生だ。


あたし達の高校の先生といえば、大半が両親と同じ年くらいかそれ以上の人で、若い先生はほとんどいない。

だからあたし達生徒にとって、この時期にやってくる若い教育実習生達は物珍しかった。

それにあたし達の先輩だと言うのだから、それだけで十分に愛着が湧く。


教育実習生の授業の仕方はたいていが下手くそで内容もあまり頭に入ってこないのだけど、一生懸命説明してくれる姿が何だか微笑ましくて。

大学生の若い教育実習生がやってくるその時期、生徒達は１年の中で一番真面目に授業を聞いていた。


毎年やってくる教育実習生は真面目そうな人が多いのだけど、ごくたまにかわいい先生とかちょっとかっこいい先生がいる。


そういう先生は学年問わず生徒達の人気が高い。

廊下を歩いているだけで生徒達に囲まれる。



高校２年生のときに教育実習生としてやってきたあいつは、まさにそういう先生だった。