あたしの手帳から舞い落ちて、今冴島先生の手の中にあるもの。それは、一枚の写真だった。
冴島先生が手の中の写真を見つめて、にやっと笑う。
「返してください」
もう一度そう言うと、冴島先生はようやくあたしのほうに写真を差し出してきた。
「ん」
無表情で写真を受け取るあたしを見て、彼がにやりと意味ありげに笑う。
「で、どっち?」
「は?」
問いかけられている意味がわからない。
おもいきり眉をしかめると、冴島先生が口元をにやつかせた。
「だから、どっちが宮坂の彼氏?木瀬と上原」
冴島先生に不躾に訊ねられて、かっと顔が熱くなる。
同時に湧き上がってきた、怒りと恥ずかしさという二つの感情が、あたしの頬を熱くした。
「どっちも違います!」