「ちょっと、それはダメ!」
手帳を奪い返そうと腕を伸ばすと、冴島先生が面倒くさそうに顔をしかめた。
「大丈夫だって。別にじろじろ中身見たりしねぇから」
「そういう問題じゃないです。それ以上触ったらセクハラで訴えますから!」
「なんでだよ」
冴島先生が面倒くさそうに前髪を掻きあげながら、あたしの手帳をひっくり返してバサバサと振る。
「最っ低!」
あたしが嫌味たっぷりに言ったとき、手帳の間から四角い紙切れが一枚落ちてきた。
「あ……」
裏向けに床に落ちたそれを、あたしよりも先に冴島先生が拾い上げる。
「返してください」
焦って手を伸ばしたけれど、それよりも一瞬早く、冴島先生が裏向けになった四角い紙をひっくり返した。