「放っておきたいのは山々なんだけど、今週は俺が学校の鍵当番なの。校舎内全部の戸締りをして、生徒が残ってないのを確認しないと帰れないんだよね」
「意外と真面目ですね」
見た目はチャラそうなのに……。心の中でそうつぶやくと、冴島先生はにやりと笑った。
「そりゃ、お前。先生だからな」
自分で『先生だから』とか言っちゃうところがどうかと思う。
冴島先生に白けた視線を向ける。だけど彼は、それを全く気にしていなかった。
「で?お前はなんでこんな時間に学校に残ってんの?」
「先生なら、なんで残ってるか考えてみてください」
冷たく答えると、冴島先生は無表情であたしを見てから苦笑した。
「宮坂。お前、人からよく『かわいくない』って言われない?」
「先生は、人からよく『いい加減っぽい』って言われませんか?」
眉ひとつ動かさずに対抗すると、冴島先生がクッと笑った。