「おひさしぶりです、冴島先生」

そう言うと、彼が目を細めてあたしの顔をじっと見つめた。

「宮坂?」
「はい」

ひさしぶりに名前を呼ばれて、心の奥が揺さぶられる。

「あー、ひさしぶりに会うと一瞬わかんねぇな。突然、何しに来たんだよ」

他人行儀だった冴島先生の言葉が崩れる。

その話し方も声も、それから見た目も。あたしが卒業したときとほとんど変わらない。

だけど醸し出す雰囲気は以前より少し落ち着いていて、あの頃よりもちゃんと教師らしく見えた。

「来週から教育実習でお世話になるから、挨拶に」
「教育実習? 宮坂が? へぇ、もうお前ら卒業させて、そんな経つんだ?」

冴島先生があたしを見てクッと笑う。