「じゃぁな、宮坂」

にやっと笑った冴島先生が、あたしに背を向けて階段を上がっていく。

箱を両手に包んだまま呆然と立ち尽くしていると、しばらくして亜未から電話がかかってきた。

「紗幸希、忘れ物見つかった? ないなら一緒に探そうか?」
「大丈夫、すぐ行くから」

亜未からの電話を切ったあと、屋上に続く薄暗い階段を見上げる。

あたしはしばらくじっと階段を見つめてから、昇降口へと向かった。