「急がないから、サユの気が向いたら連絡ちょうだい。いつでも、待ってるから」

涼太は笑いながらそう言うと、あたしから離れた。

「てことで、俺の話は以上! 戻ろう、まだ写真撮ったりするだろ?」

あたしに背を向けて、涼太が先に歩きだす。写真の端を強くつかむあたしの指先に、熱がこもる。

「涼太!」

少しずつ遠ざかっていこうとする涼太の背中を思いきって呼び止めると、彼が足を止めて振り返った。

「なんだよ、サユ。いつまでそこに突っ立ってんの? 早く来いよ」

涼太が笑ってあたしを手招きする。

「サユー?」

それでもあたしが一歩も動かずにいると、涼太が口元に両手をあてて大きな声であたしを呼んだ。

涼太の呼びかけに答える前に、大きくひとつ深呼吸する。

あたしは肺の中にたっぷりと取り入れた空気を一気に吐き出すように、涼太に向かって大声で叫んだ。