「サユ、バレンタインの日にチョコくれただろ? あのとき、お前は深い意味はないって言ってたけど、俺は勝手に深い意味に解釈することにしたから」
首を捻りながら写真を裏返したとき、涼太が言った。
「え?」
写真から視線をあげると、真剣でまっすぐな目をした涼太にじっと見つめられる。
あんまりまっすぐなその眼差しに、その場に縫いとめられたみたいに動けなくなる。
自然に呼吸する方法すらよくわからなくなって、あたしは涼太を見つめ返したまま小さく喉を動かした。
「俺、今もサユのこと好き」
やや緊張した涼太の声が、まっすぐにあたしの耳に届く。
涼太の2度目の告白は、1度目のときと同じくらい、あたしの心臓をきゅぅっと強く締め付けた。
「涼太、あたし……」
写真の端っこをつかむ指先に力をこめたとき、涼太があたしの顔を覗きこむようにしながら人懐っこい顔で笑った。
「俺、急がないから」
涼太にそう言われて、言いかけた言葉を口に出すタイミングを失う。