「サユ?」

写真を見つめて苦笑いを浮かべていると、涼太が不審げに首を傾げた。

「うぅん、何でもない」

文化祭のときの告白を、実は冴島先生に聞かれていたなんて、涼太には言えない。

あたしは軽く首を横に振ると、写真から顔をあげた。その瞬間、涼太とカチリと目が合う。

「今日って卒業式だけど、ホワイトデーじゃん?」
「うん、そういえばそうだね」
「だからその写真、俺からのホワイトデーのお返し」
「へ?」

これが……?

涼太とふたりで写る写真をしげしげと眺める。

これがお返しって、どういう意味だろう。裏にしかけがあるとか……