涼太があたしを連れてきたのは、人気の少ない体育館裏だった。

「ごめん、急に。そんなに時間とらせる話じゃないから」

あたしと向かい合って立った涼太が、俯きながら指先でつつくように額を擦る。

時間はとらせないと言いながらもなかなか話を切り出そうとしない涼太をじっと見守っていると、やがて彼が意を決したように顔をあげた。

「あのさ、サユ。これ……」

涼太が制服のズボンのポケットから何か引っ張り出して、それをあたしに向かって突き出す。

「これ……」

涼太があたしに突き出してきたのは、文化祭のときにふたりで写してもらったポラロイド写真だった。

涼太の告白を断るときに突き返して、そのまま落としてきたはずだったのに……

どうしてそれを涼太が────?