「うん、いいけど」
「じゃぁ、ちょっと来て」
頷くと、涼太は場所を移動するよう促してきた。
「うん……」
もう一度頷いてから、ちらっと冴島先生のほうに視線を向ける。
ちょうどそのとき、萌菜に腕をつかまれて写真の立ち位置を決められていた彼が、ふとあたしに視線を向けた。
涼太に連れられていこうとするあたしと彼の視線が交差する。
困ったように冴島先生を見つめると、彼が涼太のことを視線で指しながら口角を引き上げた。
「後悔しねぇの?」
少し離れた場所で笑う冴島先生が、そう言っているような気がする。
あたしは頷いてから軽く会釈すると、冴島先生に背を向けて涼太のあとをついていった。