「あ、大ちゃんに頼もう。大ちゃん、写真撮って!」
亜未の声で振り返った冴島先生と、一瞬目が合う。
いつもは比較的ラフな格好の冴島先生だけど、今日は卒業式だから上下きっちりとしたスーツだ。
無意識に見入っていると、彼があたしを見てにやりと口角を引き上げた。
その笑みにはっとして視線をそらすと、彼が何事もなかったように近寄ってくる。
「何? 写真?」
「うん、そうそう。あ、あとで大ちゃんも一緒に写ってよ。スーツ姿かっこいいね!」
亜未が冴島先生ににこにこと笑いかける。
「あー、とりあえずとっとと並べ」
冴島先生はあたし達4人に手で指図すると、亜未に渡されたスマホを横向きに構えた。
「撮るぞー」
そう言っておいて、シャッターを押さずに一旦スマホをおろす。
「どうかしたの?」