あたし達の高校の卒業式が行われたのは、3月14日だった。

「なんか淋しいね。大学行ってもたまには遊ぼうね、紗幸希」

卒業式が終わって体育館の外に出ると、泣きすぎて目が赤くなった亜未が、あたしの手をぎゅっと握った。

「そうだね」

あたしも亜未も卒業式までに無事に進路が決まり、4月からは晴れて大学生だ。

「そうだ、紗幸希。写真撮ろう」
「紗幸希、亜未」

亜未が制服のポケットからスマホを取り出したとき、涼太と上原くんが手を振りながら近づいてきた。

「あ、涼太と上原くんも一緒に写真撮ろうよ!」

亜未の言葉に、涼太と上原くんが笑顔で頷く。

「誰かに撮ってもらおう」

きょろきょろとあたりを見回して適当なカメラマンを探していると、冴島先生があたし達のそばを通りかかった。