「宮坂でもこういうのするんだな」

にやりと笑いながら、冴島先生は手にした小箱をまじまじと眺めていた。

宮坂でも……、って。そういう言い方をするということは、きっと、あたし以外の女子からも似たようなものをたくさんもらったんだろう。冴島先生は、女子生徒から人気がある。

やっぱり、渡さないほうがよかったかもしれない。

急に後悔の念にかられて、渡したばかりの小箱を取り返そうと手を伸ばす。

けれど冴島先生は、あたしの手をサラリと交わして、意地悪く微笑んだ。

「ちゃんと木瀬にもやったか?」
「先生には関係ないでしょ」

あたしは冴島先生に渡しにきたのに。先生は、涼太に渡したかどうかを気にするんだ……

複雑な気持ちで冴島先生を睨むと、彼が楽しそうにククッと笑う。

「何がおかしいんですか? 念のため言っときますけど、それ義理ですから」

笑われたことにムッとして、そっけない声でそう告げる。