探していた人物は、階段の壁にもたれて、のんびりと紫煙を燻らせていた。

あたしの視線が、煙草の煙を吐き出しながら下を向いた彼の視線と宙で絡み合う。

「おー、どうした?」

あたしに気づいた彼が、煙草の先を携帯灰皿に押し付ける。

「なんか質問? だったら、職員室行くか?」

煙草の火を消した彼が、ゆっくりと階段を降りてくる。

「最後まで熱心だよな、お前」

クッと笑いながら、彼があたしの横をすり抜けてさらに階段を下っていく。

「冴島先生」

先に降りていこうとするその背中を呼び止めると、彼が立ち止まって振り向いた。

「ん?」